暗号通貨の未来：投機資産からインターネットの基盤へ - ChainCatcher

原文タイトル：Cryptoは主流化へ——ただし、あなたが思う形ではないかもしれない
原文著者： @binafisch
翻訳：Peggy，BlockBeats

編集者注：

暗号資産は主流化に向かっていますが、その方法はあなたの想像とはまったく異なるかもしれません。それはビットコイン、イーサリアム、Solanaの形で現れるのではなく、NFTアートやミームコインが主導するわけでもありません。むしろ、デジタル金融やインターネットの基盤に静かに溶け込み、アプリケーション間の安全な通信レイヤーとなるのです。ちょうどHTTPからHTTPSへの移行のように。

現在、ステーブルコインの取引量はVisaやPayPalに迫っており、Web3は「見えない形」で日常生活に入りつつあります。未来のLayer 1は「世界のコンピューター」ではなく「世界のデータベース」となり、数百万のアプリケーションに信頼できる共有データソースを提供するでしょう。

この記事では、この変化の論理を深く解説します。なぜ相互運用性が鍵となるのか？AIとブロックチェーンの融合でビジネスモデルがどう再構築されるのか？そして、摩擦のない金融の未来は単一の巨大チェーンではなく、汎用的な基盤レイヤーによって実現される理由について。

以下、原文です：

暗号資産は主流化に向かっていますが、その方法はあなたが想像するものとは異なります。

それはビットコイン、イーサリアム、Solanaのような形ではありませんし、NFTアートやミームコインが主導するわけでもありません。EVM（イーサリアム仮想マシン）やSVM（Solana仮想マシン）でもありません。ブロックチェーンはネットワークに静かに溶け込み、アプリケーション間の安全な通信レイヤーとなります。まるでHTTPからHTTPSへの移行のように。その影響は深遠ですが、ユーザーや開発者の体験はほとんど変わらないでしょう。この変化はすでに進行中です。

ステーブルコインは本質的にブロックチェーン上の法定通貨残高であり、現在では年間約9兆ドルの調整後取引量を処理しており、VisaやPayPalと肩を並べています。ステーブルコインとPayPalドルは本質的に違いはなく、異なるのはブロックチェーンがより安全で相互運用性の高い転送レイヤーを提供している点です。10年以上経ってもETHは通貨として広く使われておらず、ステーブルコインに簡単に置き換えられます。ETHの価値はイーサリアムのブロックスペース需要とステーキングによるキャッシュフローから生まれます。Hyperliquidでは、取引量が最も多い資産は伝統的な株式や指数の合成表現であり、暗号ネイティブトークンではありません。

既存の金融ネットワークがブロックチェーンを安全な通信レイヤーとして統合する主な理由は相互運用性です。今日、PayPalユーザーはLINE Payユーザーに簡単に支払いができません。もしPayPalとLINE PayがBaseやArbitrumのようにチェーンとして動作していたら、Across、Relay、Eco、deBridgeなどのマーケットメーカーがこれらの送金を即座に仲介できます。PayPalユーザーはLINEアカウントを持つ必要がなく、LINEユーザーもPayPalアカウントを持つ必要がありません。ブロックチェーンはこのようなアプリ間の相互運用性とパーミッションレスな統合を可能にします。

最近Monadが次の主要なEVMエコシステムとして注目されていることは、暗号業界が依然として時代遅れの思考パターンに固執していることを示しています。Monadは洗練されたコンセンサスシステムと強力なパフォーマンスを持っていますが、これらの特徴はもはや独自のものではありません。高速ファイナリティは今や基本要件です。開発者が大規模に移行し新しい単一エコシステムにロックインされるという考え方は、過去10年の経験から支持されていません。EVMアプリはチェーン間の移行が非常に容易であり、より広範なインターネットは単一の仮想マシンの上に再構築されることはありません。

分散型Layer 1の未来の役割：世界のデータベース、世界のコンピューターではなく

あるいは暗号的に言えば：Layer 2チェーンの基盤レイヤー。

現代のデジタルアプリケーションは本質的にモジュラー化されています。世界には数百万のWebおよびモバイルアプリがあり、それぞれが独自の開発フレームワーク、プログラミング言語、サーバーアーキテクチャを使用し、その状態を定義するトランザクションの順序付きリストを維持しています。

暗号的に言えば、各アプリはすでにアプリチェーンです。問題は、これらのアプリチェーンに安全で共有された信頼できるソースがないことです。アプリの状態を照会するには、障害や攻撃を受ける可能性のある中央サーバーを信頼する必要があります。イーサリアムは当初、世界のコンピューターモデルでこの問題を解決しようとしました：このモデルでは、各アプリは単一の仮想マシン内のスマートコントラクトであり、バリデーターがすべてのトランザクションを再実行し、グローバルな状態全体を計算し、コンセンサスプロトコルを実行して合意します。イーサリアムは約15分ごとに状態を更新し、その時点でトランザクションが確定と見なされます。

この方法には2つの主な問題があります：スケーラビリティがなく、実際のアプリに十分なカスタマイズ性を提供できません。重要な認識は、アプリが単一のグローバル仮想マシン上で動作すべきではなく、独立して稼働し続け、自身のサーバーとアーキテクチャを利用しながら、順序付きトランザクションを分散型Layer 1データベースに公開すべきだということです。Layer 2クライアントはその順序付きログを読み取り、独自にアプリの状態を計算できます。

この新しいモデルはスケーラブルで柔軟性があり、PayPal、Zelle、Alipay、Robinhood、Fidelity、Coinbaseなどの大規模プラットフォームも基盤インフラを適度に調整するだけで対応可能です。これらのアプリはEVMやSVMに移植する必要はなく、トランザクションを共有かつ安全なデータベースに公開するだけで済みます。プライバシーが重要な場合は、暗号化トランザクションを公開し、復号鍵を特定のクライアントに配布することもできます。

基本原理：世界データベースはどのようにスケールするか

世界データベースのスケーリングは、世界コンピューターのスケーリングよりはるかに簡単です。世界コンピューターは、バリデーターがすべてのアプリケーションから生じる全トランザクションをダウンロード・検証・実行する必要があり、計算と帯域幅の両面で高コストです。ボトルネックは各バリデーターがグローバルな状態遷移関数を完全に実行しなければならない点にあります。

世界データベースでは、バリデーターはデータの可用性、ブロックの順序の一貫性、およびファイナリティが達成された後の順序の不変性のみを保証すればよく、各アプリのロジックを実行する必要はありません。彼らは、誠実なノードが完全なデータセットを復元できるようにデータを保存・伝播するだけです。そのため、バリデーターは各トランザクションブロックの完全なコピーを受け取る必要すらありません。

イレージャーコーディング（Erasure Coding）がそれを可能にします。例えば、1MBのブロックをイレージャーコーディングで10分割し10人のバリデーターに配布した場合、各バリデーターは約10分の1のデータを受け取り、任意の7人のバリデーターが集まれば全ブロックを復元できます。つまり、アプリ数が増加するにつれてバリデーター数も増やせば、各バリデーターのデータ負荷は一定に保てます。10個のアプリが1MBのブロックを生成し100人のバリデーターがいる場合、各バリデーターは約10KBだけを処理します。100個のアプリと1000人のバリデーターでも、各バリデーターの負荷は同じです。

バリデーターは依然としてコンセンサスプロトコルを実行する必要がありますが、ブロックハッシュの順番についてのみ合意すればよく、グローバルな実行結果について合意するよりはるかに簡単です。その結果、世界データベースの容量はバリデーターとアプリ数の増加に合わせてスケール可能で、どのバリデーターもグローバル実行で過負荷になりません。

共有世界データベースのチェーン間相互運用性

このアーキテクチャは新たな課題、つまりLayer 2チェーン間の相互運用性をもたらします。同じ仮想マシン内のアプリは同期的に通信できますが、異なるL2上のアプリはそうはいきません。例えばERC20の場合、私がイーサリアム上でUSDCを持ち、あなたがJPYCを持っているとします。Uniswapを使って1回の取引でUSDCをJPYCに交換し、あなたに送ることができます。なぜなら、USDC、JPYC、Uniswapコントラクトが同じ仮想マシンで連携しているからです。

もしPayPal、LINE、Uniswapがそれぞれ独立したLayer 2チェーン上で動作していれば、安全なクロスチェーン通信手法が必要になります。PayPalアカウントからLINEユーザーに支払うには、Uniswap（独自チェーン上）がPayPalの取引を検証し、複数回の交換を実行し、LINEの取引を開始し、完了を検証し、最終確認をPayPalに返す必要があります。これがLayer 2クロスチェーンメッセージングです。

これをリアルタイムかつ安全に実現するには、2つの要素が必要です：

• 送信先チェーンは、送信元チェーンの順序付きトランザクションの最新ハッシュ（通常はLayer 1データベース上に公開されたMerkle rootや類似のフィンガープリント）を持っている必要がある。
• 送信先チェーンは、送信元チェーンの全プログラムを再実行せずにメッセージの正当性を検証できなければならない。これは簡潔な証明（succinct proofs）や信頼できる実行環境（TEE）によって実現できる。

リアルタイムなクロスチェーン取引には、高速ファイナリティとリアルタイム証明生成またはTEE認証を備えたLayer 1が必要です。

統一された流動性と摩擦のない金融への道

ここでより大きなビジョンに立ち返ります。現在のデジタル金融はクローズドなシステムに分断され、ユーザーと流動性が少数のプラットフォームに集中しています。この集中はイノベーションを制限し、新しい金融アプリが公正な環境で競争するのを阻みます。私たちは、すべてのデジタル資産アプリが共有基盤で接続され、流動性がチェーン間を自由に流れ、決済がシームレスに行われ、アプリがリアルタイムかつ安全に相互作用できる世界を想像しています。

Layer 2パラダイムにより、どんなアプリもWeb3チェーンになれる可能性が生まれ、世界データベースとしてのみ機能する高速Layer 1が、これらのチェーンをリアルタイムで通信させ、単一チェーン内のスマートコントラクトのように自然に相互運用できます。これが摩擦のない金融の誕生の仕組みです。すべてを詰め込もうとする巨大な単一ブロックチェーンではなく、共通の基盤レイヤーによってチェーンを超えた安全かつリアルタイムな通信が実現されるのです。