Rough House Gamesは、Champions Ascensionの開発を一時停止し、新しいプラットフォーム「REACH」の開発に全リソースを集中させることを宣言。「REACHは私たちにとって新たな大きな一歩です」というコメントからは、限られたリソースをより有望なプロジェクトに集約させる戦略転換が見られます。
さらに驚くべきは、Rumble Kong LeagueがNFT発売やStephen Currieなどの著名人からのサポートを受けながらも、最終的には開発チームが「ゼロから始める」と発言し、事実上プロジェクトを放棄したことです。Star Platinumなど業界関係者からも「NFTの期待値を大きく下回った」という失望の声が上がっています。
ケーススタディ2:多様なゲームジャンルの共通する困難
終了発表されたタイトルの多様性は、web3ゲーム業界全体の危機の普遍性を示唆しています。
RPG系ではAntarris(生物収集RPG)、Kryptomon(NFT育成RPG)、Tatsumeeko(Discord統合RPG)が、アクション系ではBlade of God X(AI統合型RPG)、MetalCore(メカ戦闘ゲーム)、RoboKiden(チームアクション)が、戦略系ではChampions Ascension(格闘ゲーム)、Valeria(戦略ゲーム)が、そしてスポーツ系ではRumble Kong League(バスケットボール)とDerby Stars(競馬)が、それぞれ異なる市場セグメントから終了を発表しています。
2025年のweb3ゲーム業界の危機:17タイトル終了に見える構造的衰退
かつてはインタラクティブエンターテイメントの未来として期待されていたweb3ゲーム市場が、2025年を通じて深刻な転換局面を迎えています。年初から相次いだプロジェクト終了のニュースは、単なる個別企業の経営危機ではなく、業界全体が直面する根本的な課題を浮き彫りにしています。
この1年間で発表された17タイトルの終了決定は、資金枯渇、投資家の関心喪失、ユーザー基盤の縮小という三重苦の結果として捉えることができます。
投資崩壊とユーザー離脱:web3ゲーム業界を襲った二重の打撃
DappRadarの最新レポートによると、2025年第1四半期のweb3ゲーム投資は前年同期比71%という劇的な減少を記録し、投資額は9,100万ドルにまで落ち込みました。この数字だけでも市場の深刻さが伝わってきますが、問題はそこだけに留まりません。
ユーザー基盤の縮小も同時に進行しており、1日あたりのアクティブウォレット数は前月比6%減少して580万に、市場全体の時価総額は19.3%減の223億ドルまで下落。取引量も12.4%の減少を記録しています。
こうした数字の背景には、暗号資産市場全体が好調であるにもかかわらず、web3ゲーム部門だけが特異的に衰退しているという構造的問題が存在します。複数のブロックチェーン間での競争激化(Wax、opBNB、Aptosなど)と、プラットフォーム統合による効率化の圧力が、開発スタジオの存続を困難にしているのです。
投資家のシフト:AIと現実資産への関心転移
web3ゲーム市場衰退の最大の要因は、暗号資産投資家の関心がAI技術と現実世界資産(RWA)へと移行したことにあります。かつてはブロックチェーンゲームの未来性に魅力を感じていた投資家たちが、より高いリターンが期待できるセクターへ資金をシフトさせています。
この投資環境の悪化は、スタートアップから既存プロジェクトまでのあらゆる開発スタジオに影響を及ぼしており、資金調達の難度が急速に上昇しています。
資金枯渇から戦略転換まで:終了に至った主な要因パターン
2025年に終了を発表したweb3ゲームの閉鎖理由を分析すると、いくつかの典型的なパターンが浮かび上がります。
資金不足による直接的な閉鎖
開発元BattleboundのAntarrisは、4年間の開発期間を経た矢先に、資金不足と「極めて厳しい市場動向」を理由に無期限保留を発表。同様に9 Lives Interactiveの開発したNyan Heroesは、100万人を超えるプレアルファテスト参加者を獲得しながらも、最終的な資金確保に失敗し終了となりました。
Valeria Studioも資金枯渇を理由にゲーム開発の一時停止を発表。Kryptomon(KMON)のチームも資金を使い果たし、プロジェクト再開のための新規投資家と潜在買収企業の模索を開始しています。
Web3からWeb2への戦略転換
一部のスタジオは、ブロックチェーン統合を放棄し、従来型ゲーム開発への回帰を選択しました。Void Labsが開発したBlade of God Xは、暗号投資家からの初期サポートを受けながらも、Web3開発ロードマップを放棄してWeb2への純粋な転向を図りました。
Jungle(For The Win)も同様に、Web3統合をすべて停止して無料モバイルゲーム開発に専念することを宣言。プロジェクト持続可能性の優先化により、ブロックチェーン要素を完全に切り離すという決断を下しています。
Mystery Societyは資金調達困難を理由に開発を一時停止。Web3トークン($MISTRY)の計画は無期限延期となり、チームはSteamでのWeb2版リリースの可能性を検討中です。
新規プロジェクトへのリソース集約
Rough House Gamesは、Champions Ascensionの開発を一時停止し、新しいプラットフォーム「REACH」の開発に全リソースを集中させることを宣言。「REACHは私たちにとって新たな大きな一歩です」というコメントからは、限られたリソースをより有望なプロジェクトに集約させる戦略転換が見られます。
HYCHAINも同様に、Loot LegendsとDragon Legendsなどのタイトルを終了させ、主力プラットフォームHYTOPIAの開発に経営資源を集中させることを決定しました。
セキュリティ事件とそれに伴う信頼喪失
RoboKidenは2024年12月25日、Avalanche上のスマートコントラクトへのハッキング攻撃により、3,870万$KIDENトークンが盗まれるという事件に見舞われました。攻撃者による盗難トークンの低価格での売却により、$KIDENの価格は急落。この信頼失墜からの回復が困難と判断され、プロジェクトは事実上の停止状態に陥っています。
ケーススタディ1:有名IPやメジャータイトルも例外ではない
Gala Gamesが支援したThe Walking Dead: Empiresは、テレビドラマの人気IPを活用した3年以上の開発期間を経て、2025年7月31日のサービス終了が発表されました。1年以上の公開テストを実施しながらも、プロジェクトの継続が困難と判断されたのです。
この決定は、Gala Gamesの戦略的再編の一環であり、ゲーム内NFT保有者には他のタイトルでの代替NFTが提供される予定ですが、具体的な償還プロセスの詳細は未だ明かされていません。
さらに驚くべきは、Rumble Kong LeagueがNFT発売やStephen Currieなどの著名人からのサポートを受けながらも、最終的には開発チームが「ゼロから始める」と発言し、事実上プロジェクトを放棄したことです。Star Platinumなど業界関係者からも「NFTの期待値を大きく下回った」という失望の声が上がっています。
ケーススタディ2:多様なゲームジャンルの共通する困難
終了発表されたタイトルの多様性は、web3ゲーム業界全体の危機の普遍性を示唆しています。
RPG系ではAntarris(生物収集RPG)、Kryptomon(NFT育成RPG)、Tatsumeeko(Discord統合RPG)が、アクション系ではBlade of God X(AI統合型RPG)、MetalCore(メカ戦闘ゲーム)、RoboKiden(チームアクション)が、戦略系ではChampions Ascension(格闘ゲーム)、Valeria(戦略ゲーム)が、そしてスポーツ系ではRumble Kong League(バスケットボール)とDerby Stars(競馬)が、それぞれ異なる市場セグメントから終了を発表しています。
ジャンルを問わず、資金枯渇とユーザー基盤の不足という共通の課題に直面している点は、web3ゲーム業界全体の構造的問題を明確に示しています。
web3ゲーム業界の今後の展望:回復への道は険しい
2025年のweb3ゲーム業界の経験は、ブロックチェーン技術がゲーム産業にもたらす可能性と限界の両方を示しています。プレイ・トゥ・アーン(play-to-earn)モデルへの過度な期待、市場規模に見合わない多くのプロジェクト立ち上げ、そして投資家の短期的リターン志向が、市場の持続不可能性を招きました。
今後、業界の再構築には以下の要素が必要と考えられます。
まず、ゲーム性そのものの充実です。ブロックチェーン機能は付加価値であり、核ではないというの認識の徹底が求められます。次に、投資家へのリアルな期待値設定。長期的な事業計画に基づいた資金調達と運用の確立が不可欠です。
同時に、生き残ったプロジェクトやweb3要素を完全に放棄してWeb2へ転換したタイトルの動向は、業界全体に重要な示唆を与えるでしょう。web3ゲーム市場の衰退は、単なる市場縮小ではなく、ゲーム開発とブロックチェーン技術の統合方法についての根本的な問い直しをもたらしています。
2026年以降、より現実的で持続可能なweb3ゲーム事業モデルの模索が、業界全体の復興への道を切り開く可能性があります。