暗号資産下落で10億ドルのレバレッジが解消──アナリストは健全な反落と指摘 | CoinDesk JAPAN（コインデスク・ジャパン）

• ビットコインが史上最高値から11万8000ドルまで反落したことは暗号資産市場に波及し、デジタル資産全体で10億ドル超の清算を引き起こした。
• アナリストは、FRBの利下げ期待とETFへの流入が依然として強気の勢いを支えているため、この売りは反転ではなく健全な利益確定を示していると述べた。
• コアインフレ指標の上昇と割高なバリュエーションは短期的なリスク要因であるものの、機関投資家による暗号資産への需要は強いままだ。

主要暗号資産で構成されるCoinDesk 20 Index（CD20）は過去24時間で2.1％下落した。ビットコイン（BTC）は2.3％下落し、エックス・アール・ピー（XRP）は4.6％下落したが、イーサリアム（ETH）は0.7％の小幅下落にとどまり、相対的に健闘した。

Wave Digital Assetsの共同創業者兼CEOであるデイビッド・シーマー（David Siemer）氏は、「私の見解では、今回の反落は強気トレンドにおける単なる調整に過ぎない」とし、「ビットコインは機関投資家の暗号資産戦略の基盤として確固たる地位を築いたままだ」と述べた。

ビットコインが12万4000ドル（約1798万円、1ドル145円換算）を超える史上最高値まで急騰したのは、9月に米連邦準備制度理事会（FRB）が利下げを行うとの期待の高まりと、ETF（上場投資信託）への流入や機関投資家による採用が増加したことが要因だ。

14日に11万8000ドルまで下落したことは「同様に正常な現象」だったとシーマー氏は指摘した。

シーマー氏は、「こうした急騰の後には利益確定の動きが始まる傾向があり、短期トレーダーがポジションを清算して利益確定する動きが見られた」と指摘。「加えて、特にコアCPIに関して、予想を上回るインフレ指標によって上昇を牽引したFRBの楽観的な見通しがいくらか弱まった」と述べた。

シーマー氏は、「これは反転というよりはむしろ健全な保ち合いだ」と結論付けた。

LMAXグループ（LMAX Group）の市場ストラテジストであるジョエル・クルーガー（Joel Kruger）氏も同様の見解を示した。

クルーガー氏は朝のメモで、「今週、暗号資産市場でいくつかの目覚ましい動きがあったことを受けて、一連の利益確定が始まるのは驚くことではない」と述べた。同氏は、「しかし、全体的に見通しは依然として非常に前向きであり、下落局面も十分にサポートされるはずだ」と指摘した。

今後、暗号資産価格にとっての主なリスクは、バリュエーションが過大評価されている可能性、地政学的混乱、FRBの見通しを再調整する可能性のある経済データだとクルーガー氏は指摘した。

それでも、遅れて参入した強気派は熱狂のあまり痛い目にあった。このふるい落としは大規模なレバレッジの解消を引き起こし、CoinGlassのデータによると、過去24時間で暗号資産デリバティブ取引全体で10億ドル（約1450億円）超のレバレッジをかけたポジションが清算された。そのほとんどは価格上昇に賭けていたロングポジションだった。

[暗号資産の清算（CoinGlass）]今回のロングポジションの清算は、少なくとも7月下旬から8月上旬の暴落以来で最大規模となった。当時、ビットコインは11万2000ドルを下回り、多くのアルトコインは2桁の下落を記録。最終的にデジタル資産市場の大部分で局所的な底値を形成した。

フォロワーの多いトレーダーのボブ・ルーカス（Bob Loukas）氏はXの投稿で、「7日間で50％上昇した後に50倍のロングポジションを持つのは最良の考えではなかったのではないか、という類のふるい落としがここで起きた」と述べた。

｜翻訳・編集：林理南
｜画像：Dimitris Vetsikas/Pixabay
｜原文：Crypto Slide Spurs $1B Leverage Flush, But It’s a Healthy Pullback, Analysts Say