史上最高値を更新したS&P500とナスダック100 「最も嫌われたラリー」が示す米国株の底力 | 岡元兵八郎の米国株マスターへの道 | マネクリ マネックス証券の投資情報とお金に役立つメディア

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S&P500が+3.44%、ナスダック100は+4.2%と大きく上昇

先週(6月23日週)の米国株式市場は、S&P500とナスダックが揃って史上最高値を更新する記念すべき週となりました。米国のイラン核施設攻撃が伝えられた翌週のマーケットでは、これを新たな混乱の引き金とは捉えず、「不確実性の後退」として前向きに受け止めたのです。さらに、その後に報じられたイランとイスラエルの一時停戦合意が安心感を与え、原油価格は大きく下落。これがリスク資産への選好を高め、株式市場全体に買いが広がる展開となりました。

6月25日(水)にはナスダック100が一足早く史上最高値を更新し、6月27日(金)にはS&P500も2月19日以来となる高値を更新しました。週間の騰落率では、S&P500が+3.44%、ナスダック100は+4.2%と大きく上昇しました。

特に注目されるのは、4月8日の「トランプ関税ショック」で記録したザラ場中の安値から、わずか3ヶ月足らずでS&P500が23.9%も反発した点です。この回復のスピードと規模は、米国株の底堅さと反発力の強さを改めて証明するものとなりました。

今回の急速な株価上昇局面では、米国の個人投資家が積極的に買い向かう一方で、ウォール街ではこの上昇に乗り遅れて買えていないプロ投資家が少なくないようです。そのため、ウォール街では今回のこの上げ相場は「最も嫌われたラリー(Most hated rally)」と皮肉を込めて呼ばれるようになっています。

マグニフィセント4銘柄が上昇を主導、エネルギーセクターは売られる展開に

先週(6月23日週)を通して好調だったのはAI関連銘柄です。エヌビディア[NVDA]とマイクロソフト[MSFT]はともに史上最高値を更新、それぞれ先週+9.66%、+3.9%上昇しました。先週の上げでエヌビディアは時価総額で世界のトップに踊り出て、AI熱の再燃を感じさせる一週間となりました。

加えて、「マグニフィセント・セブン」(※)に名を連ねるアルファベット[GOOGL](+7.14%)とメタ・プラットフォームズ[META](+4.37%)も週間を通じて力強い上昇を見せ、史上最高値の更新には至らなかったものの、相場全体のセンチメントを支える存在となりました。

一方、2021年末から長期にわたり下落基調が続いていたナイキ[NKE]は、今回、市場予想を上回る決算を発表したことを受けて、先週1週間で20.5%もの急騰を記録しました。

反対に、エネルギーセクターは、中東情勢の緊張緩和による地政学リスクの低下と、それに伴う原油価格の大幅な下落を受けて、先週の米国株市場で最も売られたセクターとなりました。

金融株が上昇、マーケットの裾野を広げる

2008年の世界金融危機後、米国は銀行に対して厳格な自己資本規制を導入し、金融システムの安定性を高める改革を進めてきました。その象徴的な規制のひとつが「補完的レバレッジ比率(SLR)」です。

このSLRとは、銀行が保有する資産に対して、一定の自己資本をリスクにかかわらず確保しておくことを求めるルールであり、「バランスシート全体に対するセーフティネット」のような役割を果たしてきました。特にJPモルガン・チェース[JPM]やシティグループ[C]のような巨大銀行には、「強化されたSLR(ESLR)」というより厳しい水準が課されてきました。

しかし、先週のFRB(米連邦準備制度理事会)ではこのESLRの引き下げ案を5対2の賛成多数で可決。これは、リーマン・ショック後に築き上げてきた金融規制の「一部を後退させる」象徴的な決定として、大きな注目を集めました。このような流れを受け、JPモルガン・チェースは史上最高値を、シティグループは52週間の高値を更新、金融セクターも市場の上げに貢献しています。

裾野の広がりは強気のシグナル、さらなるS&P500の上げを示唆する

先週(6月23日週)の米国株式市場で最も注目すべきは、S&P500が再び史上最高値を更新したという事実ですが、それ以上に重要なのは、この上昇が一部の大型テクノロジー株だけでなく、金融セクターなど他の中核セクターの寄与によって実現されたという点です。これはつまり、市場の上昇がより裾野の広い、健全なラリーとなっていることを示しており、一般にこのような局面では上昇のモメンタムが継続しやすいと解釈されます。

特に、金融株の上昇がS&P500全体のパフォーマンスを押し上げる原動力のひとつとなりました。テクノロジーに偏らないこの「広がりを伴ったラリー」は、テクニカルにも非常に強気なシグナルとされ、短期的に反転を警戒するような場面ではありません。

また、今週金曜日に控える米国の独立記念日(7月4日)に向けて、マーケットには明確なリスク回避の動きは見られず、むしろ投資家のセンチメントはリスクオンに傾いています。

短期的には、休暇前の買い意欲が支えとなり、株価は堅調に推移する可能性が高いでしょう。仮に7月4日以降に軽度な調整があったとしても、7月という月の季節性パターンを踏まえると、株式市場は引き続き上昇バイアスを保つとみられます。

実際、過去10年間のS&P500の7月の平均リターンは+3.35%と、年内でも特に好調な月のひとつです。このため、7月は引き続き株式市場にとって堅調な月になる可能性が高く、調整局面が訪れるとしても、そのタイミングは8月以降となる公算が大きいと考えられます。

今週(6月30日週)の焦点、雇用統計と猶予期限が迫る「報復関税」の動向

米国株市場で最大の注目は、7月FOMC(米連邦公開市場委員会)開催前に最後の重要経済指標となる雇用統計(7月3日発表)です。今回は独立記念日(7月4日)と重なるため、金曜ではなく木曜発表となります。

ここでの雇用者数や賃金の伸びが市場予想を下回るような「弱い数字」であれば、FRBの9月利下げ期待が一段と高まり、株式にとっては追い風となる可能性があります。

さらに、トランプ政権が設定した「報復関税」の90日猶予期限が7月9日に迫っており、対中関税の動向も依然として相場の大きなリスク要因です。今週は経済指標と通商政策が交錯する週となりそうです。

(※)マグニフィセント7:アップル[AAPL]、マイクロソフト[MSFT]、アルファベット[GOOGL]、アマゾン・ドットコム[AMZN]、メタ・プラットフォームズ[META]、エヌビディア[NVDA]、テスラ[TSLA]

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